腐女子言端の内と外

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些細な疑念

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腐女子文化のセクシュアリティ
性科学ハンドブック12/財団法人 性科学協会発行
2009.6.20初版 本文95ページ

※2008.11.29開催
第54回 日本=性研究会議(JASS) 
シンポジウム『腐女子文化のセクシュアリティ』議事録
@家の光会館7階 コンベンションホール
参照:http://www.jase.or.jp/jigyo/sei_kenkyukaigi_kako.html



ツッコミ1:ボーイズラブと言う語の成立;10〜11頁

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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜

第六巻壱回  そして、ボーイズラブ
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
本年度もよろしくお願い致します。
さて、つらつらと綴って参りましょうか。


今回は、JUNE・やおい・耽美・ボーイズラブ
変遷の状況を年表風に駆け足でお浚いする試み
を致します。
理由と致しましては、ボーイズラブが外部から
論じられます際に分野情勢の変遷を綺麗さっぱ
り無視されて、現行の勢力分布があたかも最初
から存在したかの様に強引に平面化されて説明
されているからです。
こういう言葉にだって歴史はあるのだよ、と言
う事を改めて知って戴ければ幸いかと。筆者も
認識を整理しておきたくありますし。
出来る限り記述して参ります。ご了承下さい。


○●○


JUNE以前【1978年10月以前】

この分野を特定する言葉は発生していない。
転用された言葉は存在するが、その用法は元か
らの語義に依存する部分が大きかった。





comicJUN創刊【1978年10月1日】

サン出版より刊行。1979年2月1日にJUNEと改題
するが方向性はほぼ確立されていた。【傍注1】
なお、この改題に際し「作家のジャン=ジュネ
の名から誌名を採った」と言う巷説が流れてい
るが、ジャン=ジュネの名から誌名を採ろうと
していたのは同じ版元が刊行していた男性同性
愛者向け雑誌『さぶ』の事であった。【参照1】
誌面を見る限り、二次創作もオリジナルも、又
そう言う風に読む事の出来る既存の創作表現も
《JUNE》と言う認識の下に集約されていた感が
ある。





らっぽり『やおい』特集号刊行
【1979年12月20日】〔*後に再録〕

やおい》を定義した現在確認できる限り最古
の文献である。ここで定義されたものは二次創
作要素を含まないオリジナルであり、色彩とし
ては限りなく《JUNE》に近い。





キャプテン翼同人誌ブーム【1980年代中盤〜】

この時点で《やおい》=同性愛関係を主軸とし
た二次創作と言う認識が発生した模様。明確な
文献は未だ確認されず。
又余談ながら《やおい》=同人誌と明確に断言
した文献も未だ確認されていない。
同人誌=《やおい》と言う認識を忌避する記述
聖闘士星矢アンソロジーに掲載された事はあ
ったが。【参照2】





BOY'S LOVE COMICイマージュ創刊
【1991年12月10日】

白夜書房より編集プロダクション(有)すたん
だっぷの手によって刊行。Boy's Loveと言う言
葉の初出である。
これに前後して勁文社より『耽美小説SERIES』が
刊行され始める。これに続き翌年2月白夜書房
り『白夜耽美小説シリーズ』が、又12月には二
見書房より『VelvetRoman』シリーズが刊行され
始め、この時点より男性同性愛関係を描いた女
性向け創作小説を称して《耽美小説》と明確に
呼ぶ様になったと思われる。が、この冠が漫画
に冠される事は殆どなかった様子。
そして、この発生時期が微妙に重なった為か
《Boy's Love》≒《耽美》と言う認識混同が生
じていた模様。
実際に明確な区分は提示されていなかった。





Charede創刊【1994年3月1日】

二見書房より刊行。白夜書房=(有)すたんだ
っぷ以外でBoy's Loveと言う言葉を用いた嚆矢
と思われる。
しかしながら、現行のBoy's Loveの軽やかさは
見られず、《耽美》との認識混同もまだ存在し
ている模様。





月刊ぱふ雑草社・刊〕
「BOYS LOVE MAGAZINE完全攻略マニュアル」
掲載【1994年8月1日】

この特集において青磁ビブロスの雑誌編集方針
が提示されている。その目指す所は今日のボー
イズラブそのものであるが、留意せねばならな
いのはこの時点でその説明に《Boy's Love》と
言う言葉が用いられていない事だ。
むしろ《やおい》と言う言葉で作品が語られて
いたのではないかと言う雰囲気が覗える。
『MAGAZINE BE×BOY』のキャッチフレーズに
《BOY's》と冠される様になったのは筆者確認の
限り95年頃ではないかと思われる。
青磁ビブロスビブロス刊行物誌面に《ボーイ
ズラブ》の文字が躍る様になったのは97年、社
名変更が正式になされてからの事と思われる。
又『MAGAZINE BE×BOY』のキャッチコピーに
《BOYS LOVE》と用いられる様になったのは2002
年以降。





コミックJUNE、現行方針にリニューアル
【1998年12月5日】〔マガジン・マガジン/刊〕

『JUNE』から派生したコミック雑誌『コミック
JUNE』が四号目にして現在に至る過激な性描写
主導の内容にリニューアル。
キャッチコピーに『ボーイズコミック』と用い
る。





2000年筆者がインターネット上に入った時点で
《Boy's Love》と言う言葉は好事家の間で用い
られ、定義も『軽味を帯びたオリジナル創作』
と言う認識で落ち着いていた。
二次創作をボーイズラブと言い換える用法は確
立していなかったと思われる。


○●○


そして今日に至る…と言う略年表でございます。
いや、略が出来ているかどうか怪しいものです
が。
とりあえず、言葉の流れとしてこういうものが
あったのだという事は少し掴んで戴けたかと愚
考致します。
この辺を少し踏まえれば、作品を検分する際に
少し役に立とうかと。


さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。
では次号配信まで、御機嫌宜しゅう。


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傍注1
株式会社『JUN』からクレームがあった為誌名変
更に至ったとの事。『JUNE』4号に編集部よりの
簡略な説明あり。

参照文献
『消えたマンガ雑誌新保信長:編
メディアファクトリー/2000.2.14初版

『マンガ青春記』中島梓
集英社文庫/89.12.20初版

『ひそやかな教育 
やおいボーイズラブ〉前史』
石田美紀 洛北出版/2008.11.8初版
密やかな教育―“やおい・ボーイズラブ”前史


参照1
『小説JUNE』通巻144号(2002年10月号)
マガジンマガジン/2002.10.1発行
※“『さぶ』大辞典”内インタビュー記事
談:櫻木編集長;『JUNE』編集長(当時)。
『さぶ』及び『JUNE』の創刊に関わる。


*再録
『小説JUNE』通巻129号 (2001年3月号)
マガジンマガジン/01.3.1発行
※巻末綴じ込み付録として再録


参照2
『星矢危機一髪 あぶないせいや
別冊COMICBOX(5)
ふゅーじょんぷろだくと/87.9.1初版
※読者のお便りコーナーにて<やおい>議論


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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第六巻壱回 2009.1.10発行
(以下略)
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Gust

Gust

キャッチフレーズ;YAOI COMIC



ツッコミ2:商業出版における男性ボーイズラブ作家の存在;71〜72頁
文中に提示されたと思しき物件

背徳の召喚歌 (ベルベット・ロマン・シリーズ)

背徳の召喚歌 (ベルベット・ロマン・シリーズ)

文中において指摘され忘れたと思しき物件

残照の瞬間(とき) (耽美小説SERIES)

残照の瞬間(とき) (耽美小説SERIES)

われ永久に緑なる (耽美小説SERIES)

われ永久に緑なる (耽美小説SERIES)

いつもキラキラしていた… (角川文庫―スニーカー文庫)

いつもキラキラしていた… (角川文庫―スニーカー文庫)

AND FAITH TO FAITH,HEART TO HEART (角川文庫―スニーカー文庫)

AND FAITH TO FAITH,HEART TO HEART (角川文庫―スニーカー文庫)

北点抄 (角川文庫―スニーカー文庫)

北点抄 (角川文庫―スニーカー文庫)

ロンリー・キッズ (角川ルビー文庫)

ロンリー・キッズ (角川ルビー文庫)

彼の時刻(とき)を止めて (角川文庫―スニーカー文庫)

彼の時刻(とき)を止めて (角川文庫―スニーカー文庫)

在処の樹 (角川ルビー文庫)

在処の樹 (角川ルビー文庫)

鏡の島 ガラスの船 (角川ルビー文庫)

鏡の島 ガラスの船 (角川ルビー文庫)

波の名前 (角川ルビー文庫)

波の名前 (角川ルビー文庫)

君が蒼き天涯の玻璃

君が蒼き天涯の玻璃

春に僕を忘れて (角川ルビー文庫)

春に僕を忘れて (角川ルビー文庫)

スニーカー文庫収録のJUNE系作品群は後年ルビー文庫に移行。
月光のイドラ

月光のイドラ

緑色研究〈上〉

緑色研究〈上〉

緑色研究〈下〉

緑色研究〈下〉

ミッドナイト・コール (角川ルビー文庫)

ミッドナイト・コール (角川ルビー文庫)

月光のイドラ (C・NOVELS―ファンタジア)

月光のイドラ (C・NOVELS―ファンタジア)


「勇者さまになって!」
白夜書房刊行『小説イマージュクラブ』1995年5月号掲載
「黒イぐれえとまざー」
コアマガジン刊行『小説イマージュクラブ』1995年11月号掲載
「キスは子供になってから」
二見書房刊行『シャレード』1996年3月号掲載
「ひとりぼっちの宇宙人」
二見書房刊行『シャレード』1997年5月号掲載
以上 真道寺軍:作

参照:http://fukuzoh.tripod.com/aiindex.html

以上資料提示にて。