事典への疑惑
『平成・新語×流行語小辞典 (講談社現代新書 (1449))』及び現代用語の基礎知識
97年版833頁*1に掲載されたショタコンの解説文が
そっくりな理由が自己解決できました。
『ワードウォッチング』の解説担当の稲垣吉彦さんが
『平成・新語×流行語小辞典 (講談社現代新書 (1449))』の著者であったから、と
言うのがその理由です。
稲垣さんが現代用語の基礎知識97年版用に書いた解説文を
そのまま99年発行の自著に流用されたのでしょうね。
正解が目の前にぶら下がっていたと言うのに、随分と
遠回りをしてしまったものです(苦笑)
●○●
さて、現代用語の基礎知識をもう一度紐解いて確認した所、
ショタコンが『若者用語』の一つとして独立項目化された
のは97・98・99・00年の四年間であった事が改めて確認
出来ました。また、いずれも堀内克明さんが解説を担当
されています。
99年及び00年に『ショートアイズ・コンプレックス』が
出て来たと言うのは既にお話しました。では、97年98年に
その話題の片鱗が少しでもあったのか。答えは否です。
97年98年の『若者用語』の解説文は要約すれば『少年趣味』と
表記できるものに過ぎず、語源解説等は一切付記されて
いなかったのです。
整理しますと、下記の図になります。
97年版
- 『ワードウォッチング』 解説:稲垣吉彦
- 『若者用語』 解説:堀内克明
- 要約:少年趣味。
- 『マンガ文化』 解説:米沢嘉博
↓
98年版↓
99年版↓
00年版↓
01年版
ショートアイズがどう言う文脈でいきなり出てきたのか、
傍から見ても多分判らないと思います。
もっと判らないのは、過去の俗語辞典をもう一度調べると
short eyesと言う言葉の存在は確認出来たのです。
但し、確認出来た三例*2はいずれも「子供に性的な悪戯を
する人間」を指してshort eyesと言うとの事。そして、
その三例の内一例は、堀内克明さん自身が編著者に名を
連ねた辞典が出典である事をここに明記します。
つまり、堀内さんはショートアイズの明確な語彙を知って
いながらも誤記をしたと言う事になろうかと推測されます。
その過程に何があったかは窺い知る余地はありませんが。
堀内さんは2004年版に於いても「若者用語」の解説を
担当されております。
*2:「最新英語情報辞典」堀内克明・高田正純・フレックスナー,S.B:編/小学館/83.1.10初版/ISBN:4095100915/第二版、「英米タブー表現辞典」本名信行・鈴木紀之:編/大修館書店/87.5.20初版/、「三省堂ニューズ英語辞典」磯部薫:編/三省堂/86.9.1初版/ISBN:4385106479