所謂一つの

伊南屋（id:inamiya）さんとのコラボネタと言うか
なんと言いますか。

　　　さり気なく明け透け
　　　　　　　　　　　　　　　ＸＱＯ


　『あれって痛恨のミスだよなー』
嘘つけ。美味しかったって思ってる癖に。
頬の緩み方で判るっつーの。
それに実は確信犯だろうが！とツッコミを
入れたくなる。あのポロリの瞬間の目の動き
って布団の中で俺を弄る時のそれと同じだし
な。
つーか、クリスマスにラジオの収録って楽
しいけどさり気なく残酷じゃね？いや、なん
もなかったらまあいいかで済ますんだけどさ。
とりあえず遣る事遣ってからその余韻すっ飛
ばして酒かっくらってはしゃいでる訳よ俺ら
ってば。暴走したい年頃の男子としては一寸
残酷だし不自然じゃね？事の後ってなんだか
んだ言ってかったりぃ訳だしさ。
あの後のトイレってのもな…なんか不自然
じゃね？お前そんなにトイレ近かったっけ？
……なんてぐるぐる考える十二月二十六日
午前一時の布団の中。酒飲んだ後で更に布団
の中で暴走して三回戦ってどんだけ元気なの
よ俺ら。


幼稚園入る前にキスしてから随分長くつる
んでるけど、ここ三ヶ月の進展程ジェットコ
ースター状態って無いと思う。
長年イチャイチャくっついてたのはもう今
更否定しない。ラジオでそれを否定するのは
演出上美味しいからだろうと割り切ってる。
本当に美味しい所は番組には出しませんよ
ー。目の前の子のドジっ子の可愛さはうちの
独占財産ですしー？
まあ、ね。触るまでは、ね。抑止力と言う
か何と言うか。変に妄想が煮詰まって暴走す
るよりは健全だと思う訳よ。特に相手が相手
だしねー。抱きつき心地ジャストフィットな
身長差の奴が目の前にいてさ、聖人君子でい
られると思う？
だから第三回のサムネなんて本当に焦った。
ラジオの中でも触っていちゃつきたいと言う
心の声をきっちり読まれた様な感じがして。
　普段でもあそこまでくっついた様な覚えは
ない！…と思う。多分。いや無い筈だ。少な
くともこっちの記憶の限りでは。首筋に抱き
つく程度は月一回してると思うけど。少なく
とも公衆の面前で乳首を触るまでに至る狼藉
は今まで一回もして無い。
……もしかしたら誘われてる？一線越えち
ゃった時の様に。


軽く伸びをして煙草に火をつけて良し！と
一人ごちてモニターを見つめる。とりあえず
ここまでクールダウンしたんだから冷静にコ
メントを受け止められる筈だ。いや、もうね、
今更の反応とは割り切ってるけどさ。そう言
う反応への割り切り方がもしかしたら誘い受
けと判断される要因なのかも知れない。
で、ここまで頭が冷えてしまうと自分の反
応についても冷静に考える余裕が出来る訳で。
多分、独り占め出来なくなりそうだったの
で嫌だったんだろうなー。だから取り乱した
のかも。だってこっちが本名返ししたのは意
趣返しじゃなくてリスナーへの見せつけのつ
もりだったもん。割り込むなよコイツ俺のも
んだから、って。
こう言うのって、惚れてる気持ちの多い方
が負けかもな。認めたくないけど。
「オー、良い反応来てるねー」
「わり。おこした？」
「いや、どうせ喉渇いてたし」
で、モソモソ背中にくっつかれるんだな。
パンツ一枚でくっつくなよ。又そういう気に
なるだろうがよ。
「今度からさ」
「ん？」
「この姿勢でラジオ収録するのもよくね？」
「……服は着ろよ服は。裸毛布は却下な」
釘を刺してついでに脇腹をつねり上げる。
「おま、た」
叫びかけるのをキスで吸い取る。
「ラジオ関係遣ってる時は本名厳禁な？」
「お、おう」
「俺が悔しいから」
出来るだけさらりと言ってもう一度キス。
使用頻度と体勢で二重に腰が痛いけどまあ気
にしない。どうせ今度は俺が上になる番だし。
　　　　　　　　　　　　　　【了】

ここに元ネタとともに小芝居の元のSSを公開します。