エスのお話

keyword:百合に参照として出てきたエス小説…そう言えば
エスと言う隠語は久方振りに聞いたな、と思い辞書を紐解いて
みました。
確かに『S』といえばSisterの頭文字でありますが、何処かの
臍曲がりな御仁が『SとはSappho*1から由来している！』と仰った
記録が残っていると愉快じゃないか、と思いましたもので。
確認致しましたのはこれまでも参照させて戴きました下記の5冊です。

日本俗語大辞典

隠語大辞典

集団語辞典

隠語辞典

日本国語大辞典〔第2版〕2 いろさ~おもは

押し並べてSapphoは出て参りませず、Sisterの頭文字である
との解説が並んでおります。
脱線した所では『素股*2のローマ字表記の頭文字であり、鶏姦の
隠語』と言う解説が見られた事でございましょうか。
…鶏姦と素股では天地雲泥の差がある様な気も致しますが、
斯様な言葉も昔はあったと言う事でございますね。しかも
この『エス』の方がSisterのSよりも15年ばかり早く辞典類に
掲載されている様なのです。
もし素股のSの方が定着していた言葉になっていたなら、やおいや
BLもエス小説の類と看做されていた可能性もある訳でございますね。
言葉とは、実に興味深い生き物でございます。
○●○
以下、未読も含め参考文献を。

サッフォー―詩と生涯

トンデモ美少年の世界―あなたを惑わす危険な人々 (光文社文庫)

快楽の本棚―言葉から自由になるための読書案内 (中公新書)

*1:サッフォー：古代ギリシャの女流詩人。女子同性愛者の代名詞的に名が用いられる事もある。

*2:閨房愛撫技巧の一つ。相手の太股の隙間を用いる擬似性交。