腐女子言端の内と外

腐女子腐男子関連彼是

否定なき肯定

潮騒の少年 (新潮文庫)』(フォックス,ジョン/越川芳明:訳/新潮文庫
/93.5.25初版)*1は、ゲイ文学と言う括りに入りますが
極めてボーイズラブ的では無いか、と筆者には思えます。
主人公の年代と時代背景から否定的な言葉ばかりが飛び
出る物語か、と思うと実際そうではなく、むしろ自らを
肯定する過程で理解できるものは理解していこうと、成長
していこうとする主人公の姿にボーイズラブのプラス面
に通じる魅力を感じるのです。主人公が饒舌な点にも
共通点を感じているのかも。
主人公の若さも在るが故に自己愛に陥るのではなく自分を
しっかり肯定していこうと打ち出せているのかも知れません。
描写はかなりあからさまですからそれで少し退く人も
居るかもしれませんが、佳品です。

*1:親本の装丁よりも文庫版のカバーが好ましく思えるので、こちらを推します。参照:http://www.pandoras-box.jp/html/america/john%20fox/the%20boys%20on%20the%20rock.htm