「やおい」の発展

「やおい」という言葉が浸透したのは偏に『キャプテン翼』と言う
作品があったこそである…と囁かれて幾久しいですが（筆者自身
その時代を齧って過ごしましたので実感もしているのですが）、
さてそれが直接言葉を拡げる契機であったかと問われると少し自信が
なくなるのです。その頃の筆者は今以上に同人誌の現場からは遠い
身の上でしたから。
『キャプテン翼』パロディ同人誌が契機になって「やおい」という
言葉の伝播が加速されたのではないかと言う事を裏付ける証言は
『DEEP』創刊号（ミリオン出版・大洋図書/93.9.10刊行）収録の
座談会(パネルディスカッション)「世界の中心で純愛を叫んだ少女達」
（パネラー：小谷真理・野阿梓・染谷有紀・ひかわ玲子・山藍紫姫子）
【92年8月開催日本SF大会「やおいミュージアム」より一部再録】*1中に、
観客から「坂田靖子提唱説（≒らっぽり発祥説）がキャプテン翼
同人にいつしか流用された」と報告されたとの事です。
現在流布されている「やおい」『キャプテン翼』同人発祥説は
ここから始まったものでしょうか？
1987年2月1日にふゅーじょん・ぷろだくとから発行された
（恐らく）日本初の（やおい）同人誌アンソロジー、『つばさ百貨店』
巻末収録の座談会を読むと腐女子の業と言うのは些細な事から始まり、
やがて全てを絡めとるのかというほろ苦い笑いも浮かんで参ります。
……愛しいですけどね。そうやって墜ちて今に至った自分が(笑)

*1:野阿梓ホームページ中 http://homepage3.nifty.com/Noah/yaoi_pd.htm にも再録