腐女子言端の内と外

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拙メールマガジンより

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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜

第七巻拾参回  『箱―HAKO―』の始末
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御機嫌よう。葡萄瓜でございます。
さて、つらつらと綴って参りましょうか。

今回は、過日6月11日付で発行されましたふじい
りょう(parsley)
氏編集によるミニコミ誌『箱
―HAKO―』に掲載されました《CAFE801》特集内
の一項・「ぶどううり・くすこ先生のオススメ
作品」について当方なりに補足させて戴きたい
と思います

この一項、確かに当方がオススメとして選んだ
作品が掲載されているのですが何故その作品を
奨めたのかと言う理由が文脈でさえも匂わされ
ずにただ投下されている為、恐らく好事家以外
には意味不明な一隅になっているのではないか
と言う懸念を読後に抱きました。
上掲誌の編集に一切携わっていない当方が後出
しジャンケンの如く言及するのもどうかと思っ
たのですが、BLを普段読んでいない方に何故そ
の作品を奨めたのかと言う説明責任は果たして
おくべきかと思いましたので敢えてここで言及
する次第です。

さて、当方がオススメとして挙げたのは以下の
三作品です。

・腰乃『隣の』(MARBLE COMICS / 東京漫画社
隣りの (MARBLE COMICS)

タカハシマコ『ドーナツ通信』(GUSH COMICS
/ 海王社
ドーナツ通信 (GUSH COMICS)

・イ・ヨンヒ(安東あき:訳)『絶頂』全4巻
(ニチブンKARENコミック文庫 / 日本文芸社
絶頂 1 (ニチブンKARENコミック文庫 LY 1)

多分興味の無い傍から視ると一切脈絡の無い様
に思える選択かと愚考します。しかしながら、
それなりに込めた思いはございます。
その選択理由を今からなるべく簡略に記します。

先ず『隣の』。この作品の選択理由は「現代の
BLの代表選手」と言う位置付けでです。無論こ
の作品以外にも様々な作品を挙げる事が出来ま
しょう。
しかし筆者はこの作品を挙げてみたかった。そ
れは最先端でありながら古典作品が描きたかっ
た部分を同時に内包した作品だったからです。
「恋する男の可愛気」がはにかみと雄々しさと
併せて描かれていたからこそ奨めてみたかった、
と言う感じです。

続いての『ドーナツ通信』は古典的なBLとして
の位置付けから。
少女漫画からの延長線上の様でいて、実は両方
男の子だからこそ生じる齟齬もある。そこのぶ
つかり合いが綺麗に纏まっている作品だと筆者
は愚考します。
古典と言う事で耽美或いはJUNEを選ぶべきとの
声もありましょう。しかし、それらを読んで現
代のBLを語り得るのかと考えた時、一抹の違和
感は発生しようかと。
だとすればこの作品辺りが妥当な気が筆者には
致します。

しんがりの『絶頂』はBLの拡散について示した
い為に選びました。海外発のBLで翻訳されてい
るものと言う事であればピンクサイコ『イン・
ジ・エンド』を提示すると言う手もあったかも
知れませんが、『イン・ジ・エンド』は筆者か
ら視ると耽美寄り・少女漫画寄りと言う感じが
致しました。『絶頂』の方が例として適切では
なかろうか、と。
『絶頂』邦訳分全四巻、実は完結ではございま
せん。筆者の確認する限り韓国本国では十巻ま
で既刊が存在している様子であり、又日本では
Amazon経由でドイツ語訳を七巻まで入手する事
が可能です。
The Summit 07
そしてこの邦訳版は九割までは完成されていま
すが後一割が惜しいかな足りないのです。その
一割とは作者:イ・ヨンヒ(Young-Hee Lee)
女史による後記です。ドイツ語訳版ではきちん
と訳され掲載されておりますが、邦訳版では見
事バッサリ省略されているのです。
その事実を押さえた上で『絶頂』と言う作品を
味わうと、又違ったものが見えてくるでしょう。

BL作品及びその置かれた状況を紋切り論で語っ
た気にならない・なって戴きたくない為に筆者
はこれ等の作品を選びました。それなりの歯応
えを感じて戴ければ幸いです。

さて、此度はこれにてとりあえず筆を擱かせて
戴きます。

【中略】

では次号配信まで、御機嫌宜しゅう。

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仇花の記憶〜ショタやおい雑話〜
第七巻拾参回 2010.7.10発行

文責:葡萄瓜XQO